ゴルバチョフ元大統領の補佐官であり、国連ジュネーブ事務局の歴代事務局長の主任顧問を務めたデビッド・チクヴァイゼ氏は、世界連邦運動が第二次世界大戦直後にアルバート・アインシュタイン、バートランド・ラッセル、湯川秀樹らによって提唱されたことに言及しました。また、日本では今も国会に「世界連邦日本国会委員会」が存在していることを称賛しました。チクヴァイゼ氏によるスピーチのハイライトはこちらをクリックしてください。(6/3/2025)

リポーター:井門孝紀

世界連邦日本国会委員会総会において元Chef de Staff of the United Nations Office in Genevaのデビッド・チクヴァイゼ博士が日本の国際平和構築への貢献と多国間主義の重要性についてスピーチいたしました。

以下が博士の発言内容の全文です。

デビッド・チクヴァイゼ氏スピーチ要旨
日本の国会の重要な委員会で、著名な国会議員の皆様方の前でお話しする機会をいただき、感謝と光栄の念に堪えません。この委員会が果たす役割は、今日の国際社会において特に重要です。日本は常に世界の平和と安全の最前線に立ってきました。私の知る限り、第二次世界大戦後にまで遡る深い歴史を持つ世界連邦運動の推進委員会を議会内に設置している国は日本だけです。この運動は、アルバート・アインシュタイン、バートランド・ラッセル、湯川秀樹といった著名な科学者による宣言に端を発しています。
私は30年以上国連で働いてきましたが、国際社会、特に国連における日本の役割についてはよく知っており、深く感謝しています。模範的な国連加盟国である日本は、国連に対して、国連に対する多大な貢献を反映した、時宜を得た重要な分担金を拠出しています。こうした拠出金は、日本の多国間主義の考え方によって可能となっており、これは貴重なものであり、今後も継続されるべきです。
国連の活動について考えると、日本はあらゆる分野で先頭に立っていると思います。資金協力、安全保障、開発・人道支援、人材、国連改革の推進など、あらゆる分野でです。日本は、資金面では世界第3位か第4位の拠出国です。また、平和維持活動(PKO)に多くの軍隊を派遣し、非常任理事国としては最も多く安全保障理事会の理事国に選出されています。私は個人的に、人道支援における日本の取り組みを認識しています。私は8年以上にわたり、そのような取り組みに専念する国連事務所で働いていたからです。日本は、人道支援に多額の資金を提供しているだけでなく、直接的な支援の重要な提供者でもあります。私は、北朝鮮の食糧危機への対応に携わっていたため、このことを直接的に知っています。当時、日本は同取り組みへの2番目の支援国でした。
多国間主義や平和維持へのこうした資金援助は極めて重要ですが、それ以上に重要なのは人的貢献、すなわち国連で働く日本人専門職員の存在です。本日、そうした著名な方々のお一人であり、私にとって友人でもある長谷川祐弘氏をお迎えできることを光栄に思います。長谷川氏は、国連事務総長特別代表を務められ、国連で長きにわたり輝かしいキャリアを築いてこられました。また、20世紀の多国間主義の歴史における象徴的人物である明石康氏と共に働く機会に恵まれ、多くを学んだことは、私にとって非常に光栄なことでした。 これまでお話した方々以外にも、私は多くの素晴らしい日本人同僚を知っています。国連で働く人々の間では、日本の職員は常に献身的で、落ち着きがあり、プロフェッショナルであることがよく知られています。
国連は創設80周年を迎え、また今年は、世界連邦日本国会委員会が設立された決議から60周年の記念すべき年でもあります。しかし、私たちはこれらの節目を喜びだけで迎えるわけにはいきません。私はこの3日間、東京会議2025に参加しましたが、そこでのすべてのプログラムは、世界に吹き荒れる大きな新しい風に対して、私たちはどう対応し、どう立ち向かうべきかを論じていました。
このような状況下では、本委員会の活動の重要性は倍増していると思います。特に、第二次世界大戦以来の基軸であった多国間主義の役割が問われている今、本委員会の理念を推進することには大きな意義があります。歴史が示すように、多国間主義が後退すれば、大きな惨事が起こります。そして、私たちはこうした惨事を繰り返すわけにはいきません。なぜなら、それは私たちの最後の大きな惨事となる可能性があるからです。皆さまの活動に心から感謝いたします。そして、この委員会がその理想を世界中に広め、浸透させることに成功することを心から願っています。
改めまして、このような機会をいただき、皆さまとお会いできたことを大変光栄に思います。

世界連邦日本国会委員会総会の全体について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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