防衛省陸上総隊国際活動教育隊主催により開催された、平成30年度国際平和協力活動セミナーで、長谷川祐弘理事長がメンター(特別講師)として招かれ、歴史感・哲学的観点を交えて基調講演を行い、新たなグローバルガバナンスのあり方を提示した。
このセミナーは、平成19年に開始され、今年で11回目。陸上自衛隊の駒門駐屯地において、防衛省陸上総隊国際活動教育隊長(1等陸佐)の指導の下、平成31年1月16日-17日の二日間にわたって開かれた。本セミナーは、「能力構築支援等の現状と課題について」を主題として開催され、参加者は国連平和協力活動に部隊の指導的立場で参加する佐官級の幹部隊員を中心に、学識経験者、国際機関職員、NGO職員等、様々なアクターも交え、ケースをもとに机上演習やディスカッションを行った。また長谷川祐弘理事長のほかに、もう一人のメンターとして、防衛研究所の吉崎知典研究官も招かれた。吉崎研究官は、このセミナーには毎年参加しているということである。
そして机上演習では、官民が一緒になって、ランダムに少人数のグループに分かれ、様々なケースに対して問題提起をし、それをまとめてプレナリー形式で報告するという形式であった。このユニークな取り組みは、様々な背景を持った参加者が一同に集い、顔を突き合わせて議論することで、新たな気付きが生まれる貴重な機会であると感じた。
二日目には、通常の机上演習プログラムの中間点で、長谷川理事長によって基調講演がおこなわれた。この講演は、理事長の歴史観、哲学的・思想的な観点から話され、さらには安全保障の意思決定に女性を加えるという「国連安保理1325決議」の視点なども事例を交えて語り、「好むと好まざるに関わらず進んでいくグローバル化の波に対して、あらたな国際社会のあり方はどうするべきか、世界全体のあり方はどうあるべきか、そしてこの世界の中で我が国はどうしていくべきか」を中心に、具体的な提言も含め、わかりやすく語られた。しかも長谷川理事長は東ティモール等での国連PKO史上に残る成功体験がある。これは今現在現場で活躍している方々の目線とは、また別の「俯瞰的な視点」を取り入れた示唆に富んだものであり、参加者にとっては、おおいに刺激になったのではないかと感じた。