長谷川理事長は、国連安全保障理事会で常任理事国になる可能性が低くなった現在でも、日本は憲法に明示されているように、国際社会で「名誉ある地位」を得られるよう貢献していくべきだと述べた。
最初にトランプ大統領、安倍総理、マクロン大統領やグテレス国連事務総長が国連の役割と課題に関して行った演説の内容について討論された。そして、安保理改革、北朝鮮問題、シリア問題、中東和平問題などの安全保障問題、難民・移民・人権問題、国連の平和維持活動、維持可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)、気象変動(e.g. パリ協定の将来)、国際貿易(制裁の連鎖とWTO体制の危機)、そして、コフィ・アナンとグテレス事務総長の国連安保理改革案に関して討論された。
国連の安保理改革に関して長谷川氏は、10年前には日本は国連分担金で20%近く払っていたので、コフィ・アナンの提案した、理事国になる3つの資格の一つである財政・資金面での貢献がなされていたことは国際社会で広く認識されていた。現在では、日本の分担率は半減し、国連の開発人道支援機関への任意拠出金も激減したので、日本のプレゼンスが薄くなり、安保理の常任理事国になる可能性が少なくなったことは確かである。しかし、日本は日本国憲法に謳われているように、国際社会で「名誉ある地位」を得るために、政策立案や外交面で国連の平和活動や人道援助により積極的に貢献していくべきであると述べた。また、自らのカンボジア、ソマリア、ルワンダと東チモールでの経験から、日本の自衛隊が特定の国で国連PKOに参加するためには、受け入れる国の指導者が平和を構築する意志があることを必要条件にすべきである。南スーダンで見られたように、指導者が権力闘争に明け暮れしていて治安が維持されない場合に自衛隊を撤収することは正しいことである。その場合に、当事国や国連の指導者に撤収した理由を明確に伝達するのが望まれると述べた。