アントニオ・グテーレス国連事務総長は、安倍晋三首相と会談し、上智大学で講演し、核兵器の脅威、テロリズム、気候変動、不平等の増大など、世界が直面している深刻な問題に対処するために「人間の安全保障」の関連性がますます重要になると説いた。(リポーター 谷本真邦)
以下は日本国際平和構築協会事務次長の谷本真邦氏が提出されたレポートです。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、このたび日本を訪問し、日本の国会議員のグループと安倍晋三首相との会談。そしてユニバーサル・ヘルス・カバレッジの会合に出席し、そして上智大学において講演を行った。
安倍晋三首相はグテーレス事務総長を温かくむかえ3時間以上もの時間をかけて会議と昼食会をした。
国連プレスリリースによると、グテーレス事務総長は、日本が国際社会の柱であり、多くの分野で国連を力強く支持をしてきてくれていることに感謝した。グテーレス氏はまた、紛争予防と持続可能な開発へむけての彼自身が優先事項と定めていることを反映している「人間の安全保障」の推進に日本がリーダーシップを取ってきたことを強調した。
北朝鮮半島の状況については、グテーレス国連事務総長は安全保障理事会決議の全面的な実施の必要性を強調した。総長は理事会の15ヵ国が全会一致で、平和的な目的を達成するための外交的関与の可能性を考慮する必要性と半島を非核化することを求めたことを力説した。
今回のグテーレス事務総長の訪問は上智大学の東大作准教授が手配をされ、学生や招待客に事務総長を紹介した。
グテーレス事務総長は、上智大学での講演で、まず世界が直面する課題を特定した。それは(1)核兵器の脅威、(2)世界的なテロリズム、(3)気候変動、そして(4)所得格差の増大である。また、紛争予防、難民問題、人口移動、人口知能等技術革新、市民社会などにも言及した。
北朝鮮が持ち出している核兵器の脅威は、核不拡散の体制の崩壊させる危険性をもたらしている。また世界のテロリズムも、アフリカ、中東、西アジアの多くの地域で蔓延している。それに気候変動も加速しており、その悪影響は世界的に感じられる。さらに世界で最も裕福の8人は、現在、世界の人口全体の30%に相当する資産を保有している。
そしてグテーレス事務総長は、この人道危機に対し、「人間の安全保障」の概念が重要となってくると留意し、「人道的介入」と「保護する責任(R2P)」という考えが、1990年代から21世紀の最初の10年間にかけて、国際社会を導く助けとなったと、呼びかけた。
国会議員との朝の会には、「事務総長の情熱で冬の早朝にもかかわらず室温があがってます。」などの副大臣からのユーモアも飛び出し和やかな雰囲気だった。河野太郎大臣が外遊中で、中根副大臣の仕切りで、数名の国会議員が懇談された。
12月14日の朝の国会議員先生との懇談会の際には谷本真邦日本国際平和構築協会事務局次長がグテーレス国連事務総長お会いする機会があった。 |