国際連合広報センターの根本かおる所長が、ニューヨークの国連本部で9月に開催される「未来サミット」についての準備状況を詳細に説明した。 (23/5/2024)

世界連邦日本国会委員会の75周年の総会の開催、お祝い申し上げる。私共の国連広報センターは、国連事務局の本部にとっての、日本における出先の事務所という扱いになる。猪口先生がおっしゃられた国連大学、これは日本に唯一本部機能を持っている国連機関なのだが、国連機関、組織全体を見ると、東京のみならず、日本の主要な都市に全部で30個の国連の事務所が存在している。これは、それだけ日本が国連にとって非常に重要な加盟国であることの現れである。「未来サミット」、並びに「未来のための協定」(Pact for the Future)に関する議論だが、今まさに佳境に入っている。元々は2020年、国連発足75周年の国連総会において、全ての加盟国の総意で決議が行われ、国連事務総長に国連改革、多国間主義の改革のための提言を求めた。翌年の2021年、国連事務総長が宿題を行い、彼としてのアンサーリポートとしての「        私たちの共通の課題」(Our Common Agenda)という提言書をまとめた。それをベースに、3年間の議論を経て、今未来のための協定の最新版は、最初の改訂版がウェブサイトに公表されており、今月末にかけて、改訂案をベースに様々な交渉がニューヨークで行われているという状況である。Pact for the futureには2つアネックスがつく。1つはグローバルデジタルコンパクトである。これに関しては、昨年広島サミットでまとまった。この広島AIサミットというものは非常に重要な財産となって反映されている。もう1つはDeclaration on future generation、将来世代に関する宣言、この2つがPact for the futureの主文に対してのアネックスになって出てくることになる。Pact for the futureの現在の案の中には、日本が外交の方針として非常に重要にしてきた、Human Security、人間の安全保障という言葉もPeace and Securityのところに含まれている。また、日本が非常に優先、重点をおいて取り組んできたPeacebuilding Commissionの強化についても今のドラフトの中に含まれている。9月総会の、ハイレベルウィークの一丁目一番地の会合として、Summit for the futureが9月22日と23日二日間にわたって開催されるが、その前夜祭的位置付けの行事もある。9月20日には、加盟国政府や非国家主体、たとえば若者やNGO、企業などの様々なノンステートアクターもともに議論を深めることのできるアクションデイズという2日間に渡る行事も予定されている。この未来サミットは私たち国連にとって、ブレイクダウンかブレイクスルーかというほど、まさに岐路、分岐点になるような会合なので、このように国会議員の皆様、日本政府の皆様と対話が行われていることを、大変心強く思っている。私たち国連としても、また様々な形で皆様にインプットをしていければと考えている。(レポーター 井門 考紀)