新型コロナウイルスとWHOの対応についての安倍総理大臣の見解 (25/05/2020)

安倍総理大臣は、新型コロナウイルスへの対応をめぐり、米中関係の対立が深まっているなか、日本は、WHOの総会において、公平で独立した包括的な検証を行うべきであるという決議案をEUや豪州等と協力をして提出をし、米国や中国も合意したと述べた。そして、日本は自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的な価値を共有する国々と手を携えながら、国際社会での重要な役割、責任を果たしていく意向を示した。(記者会見に関しては、首相官邸のウエッブサイトを参照して下さい。)



(記者の質問)
 ウォール・ストリート・ジャーナルのランダースと申します。

 今、アメリカと中国がウイルスなどをめぐって激しく対立しているわけですけれども、日本はどっち側につくのでしょうか。そして、先ほど特定の国に依存することなく、という表現をされたと思うのですが、これはやはり日本企業に対して、できるだけ速やかに中国による依存度を下げるべきだと、そういうお考えでしょうか。


(安倍総理の答え)
 例えば現在、中国と米国との間で新型コロナウイルス感染症の発生源をめぐって相当激しく議論が行われています。日本の立場でありますが、この新型コロナウイルスについては、中国から世界にこれは広がったというのは事実であるというふうに考えています。

 そして、今後の日本の役割としては、今回のようなパンデミックが起こったときに世界がどう対応していくべきかという、その在り方について提示をしていくことなのだろうと思います。こういうときには世界中が協力をしなければいけません。その中で、WHO(世界保健機関)もしっかりとその役割を果たしていただかなければならないというふうに考えています。

 ただ、日本の外交、安全保障の基本的な立場としては、米国は日本にとって唯一の同盟国でありますから、日本は同盟国として、また、自由や民主主義や基本的人権、法の支配といった基本的な価値を共有する同盟国として、米国と協力をしながら、様々な国際的な課題に取り組んでいきたいと考えています。

 同時に、中国も、これは世界の中において極めて経済的にも重要な国であり、またプレーヤーでもあります。その中で、それにふさわしい責任も果たしていただきたいというふうに考えておりますし、日本と中国においても、これは共有している考えでありますが、正に国際社会が求めているのは、日本、中国、それぞれ国際社会において期待されている、それは正に地域の、また世界の中において、地域の平和と安定、繁栄に責任ある対応を採っていくということなのだろうと、中国がそういう対応を採ってくれることを期待したいと、こう思っております。

 例えば、先般のWHOの総会においては、公平で独立した包括的な検証を行うべきであるという決議案をEUや豪州等と協力をして提出をしましたが、米国や、あるいは中国も賛同してコンセンサスを得ることができました。この中国や米国も賛同してコンセンサスを得る上において、日本も重要な役割、責任を果たすことができたと、こう思っています。

 今後、今回のような全世界に甚大な影響を与える感染症に対しては、自由、透明、迅速な形で情報や知見が共有されることが重要であるということだと思います。

 コロナの時代にあっては、日本が、最初に冒頭申し上げましたように、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的な価値を共有する国々と手を携えながら、そして、中国も含めて、国際社会がよって立つべき原則を築き上げていくことなのだろうと思います。その中で、世界の感染症対策をリードしていきたいと思っています。