日本国際平和構築協会は3月17日に、元国連大使・国連事務次長(人道問題担当)を務められた大島賢三大使をお迎えして、「国連改革の行くえ」というテーマで研究討論会を開催します。そこでは、外務省の和田幸浩国連政策課長にも、この改革案をどう捉えているか説明して頂き、他の加盟国との受け止め方に関しても討論します。討論者は、猪又忠德 長崎大学国際連携研究戦略アドバイザー・元国連諸組織合同監査団(JIU)独立監査委員・国連行財政諮問委員会委員、山崎節子 元UNDPベトナム・カンボジア事務所長、近藤哲生 国連開発計画(UNDP)駐日代表のお三方です。
15:00-15:10 開会の辞
15:10-15:40 基調講演
大島賢三 元国連大使・元国連次長(人道問題担当)
15:40-16:00 日本政府の見解
和田幸浩 外務省 総合外交政策局 国連政策課長
16:00-16:20 パネルディスカッション
- 猪又忠德 長崎大学国際連携研究戦略アドバイザー
- 山崎節子 元国連開発計画(UNDP)ベトナム・カンボジア事務所長
- 近藤哲生 国連開発計画(UNDP)駐日代表
16:20-16:40 小休憩
16:40-17:40 自由討論
モデレーター: 長谷川祐弘 日本国際平和構築協会理事長
17:40-17:45 次回に関するご案内
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アントニオ・グテーレス(António Guterres)国連事務総長は、2017年1月に就任すると、国際情勢の変動に伴い紛争の予防を可能にする為に、国連は平和、開発、人権の三分野において個別に作業されてきた活動を、出来る限り統合してより効率的そして効果的に実施することが緊急課題であるとの見解を示した。そのためには、国連は全ての分野での活動を新たな思考方法で包括的に捉え、政策の一貫性を保ちながら実施することが不可欠であると指摘した。国連事務総長は、国連職員は外部からの非難を真摯に受け止めて、一致団結して活動していけるように、大胆な改革を行う意志があることを示唆した。そして、「2030持続可能な開発アジェンダ」(2030 Sustainable Development Agenda)の実施と、紛争予防と平和維持の連携の必要性を力説し、成果主義と現地主義に基づいた業務執行の確立を目指した(1)平和と安全保障分野の改革、(2)開発・人道支援分野の改革と(3)国連のマネジメント改革を三つの分野において施行していくことを提案した。
平和と安全保障分野に関するグテーレス事務総長の改革案は、2017年12月20日に国連の安全保障理事会において、一日中かけて討論された。この場で浮き彫りになったことは、変貌する紛争を予防するには何が必要かという課題である。もっとも、国連加盟国の間で問題認識と解決策を共有したこともあったが、意見が違った点も多々あった。 (※参考1: Prevention, Development Must Be at Centre of All Efforts Tackling Emerging Complex Threats to International Peace, Secretary-General Tells Security Council (Doc No. SC/13131))
グテーレス国連事務総長が説く国連改革の必要性に関して、発言した殆どの加盟国の代表達は賛同の意を表した。また「2030維持可能な開発目標」を達成することが重要であるとの認識も共有した。しかしながら、紛争の根源が貧困か、格差か、統治力の貧弱さか、外部の介入か、国連の安全保障を携わる機関の構造的な欠陥か、これらの要因の重要度や相互関係に関する認識は異なった。そして、対応策あるいは解決策を、誰がどのように責任を果たすべきかに関しても、異なる見解が述べられた。 (※参考2: 日本国際平和構築協会 2018年1月5日付記事(日本語版))
今回の研究討論会では、国連でどのように改革されるべきか、日本の国連大使そして人道担当の国連次長を務めた大島賢三大使と外務省の国連政策を担当している和田幸浩課長を迎えて意見交換いたします。