[Seminar] The Information Revolution and Aristotle’s Theory of Justice (22nd May 2012)



2012年度法政大学法学部国際政治学科
長谷川祐弘ゼミナール

■ 日 時 : 2012年5月22日(火)
■ 場 所 : 法政大学市ヶ谷キャンパス 富士見坂校舎 F310教室
■ 作成者 : 飯島 瑛梨  法政大学法学部国際政治学科3年

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<4限目>
■ 内 容 : 文献精読『国際紛争』第8章
■ 発表者 : 河瀬 雄飛 (人権班)  法政大学法学部国際政治学科2年
      パク ジウン (人権班)  法政大学法学部国際政治学科3年
■ 使用文献 : ジョセフ・S・ナイ・ジュニア著 『国際紛争』 P.283~P.310

1. 情報革命の特徴・歴史
情報が流通することで、アイデンティティや利害に変化が生じてきた。情報革命の最大の特徴はコンピューターと通信が結びついたことであり、政府や主権の性質を変え、力の拡散といった現象を引き起こした。経済と情報のネットワークは、政府よりも急速に変化してきたのである。第二次産業革命によって生み出されたマス・コミュニケーションは、中央集権化という政治的効果をもたらした。これに対してその後のインターネット技術は、政府による統制を困難にした点でマス・コミュニケーションと異なる。さらに、気候変動やHIV/AIDS、テロなど、国家主権に対して新たな脅威が生まれてきた為に、政治形態が柔軟になる必要がでてきた。
2. 脱国家的主体の出現
情報化時代においては、テロや人口移動など、一国の政府では対処できない問題が発生した。そこで現れたのが脱国家的主体である。この脱国家的主体の特徴は、国境を越えて活動できるという点にある。NGOはその典型例で、貧困・人権・環境などにおける「公共の利益」の下に活動している。また情報化社会においては、信憑性のある情報を持った人がパワー持つことになるので、途上国においてはソフト・パワーの格差にもつながってしまうことが問題となっている。

<5限目>
■ 内 容 : 文献精読『これからの正義の話をしよう』8章
■ 発表者 : 寺内 明穂 (正義班・平和構築班)  法政大学法学部政治学科3年
■ 使用文献 : マイケル・サンデル著 『これからの正義の話をしよう』 P.238~P.269

1. アリストテレスの正義論
(1) 最高のフルート奏者はだれか
最高のフルートを誰に与えるのが正義であるかと考えたとき、アリストテレス曰く、それは一番演奏が上手い人である。その根拠は、良い演奏がなされることがフルートの目的であるからだ。これは目的論的論法といい、目的に応じて平等な分配がなされるということが正義にかなっていると主張するものである。また、アリストテレスの言う政治とは、「善い人格を育てる」ことであり、政治の目的は市民の美徳を高めることだと結論づけている。
(2) ケイシー・マーティンのゴルフカート
身体に障害をもったプロゴルファーに、ゴルフカートの使用を認めることが正義か、不正義かという議論についても、「目的」が何であるかが焦点となる。ゴルフはショットからショットへの移動も含めての勝負であるから、カートの使用を認めることは体力消耗の点からも不正義であるという考え方がある。一方、ゴルフの目的はショットを打ち、どこまで飛ぶかを競うものであるから、カート使っても問題ではないという意見もあった。