谷口氏 特別講義『G20の役割と課題』
世界の経済において、従来は先進国が成長のエンジンであったが、現在は世界史上初めて”途上国の経済が発展すること”で世界経済全体が成長する時代となっている。具体的には途上国が世界のGDP成長への貢献、輸入への貢献で半分以上を占めるまでになった。日本は90年のバブル崩壊後ほとんど成長していないが、中国・インド・南アフリカのGDP成長は同じ20年間で約3倍から10倍になっている。
しかし、途上国はいまだに多くの課題を抱えており、電気のない生活を送っている人々は途上国で約14億人も存在する。電力インフラの未整備によって食料面や保険面でのリスクが非常に大きくなり、持続的成長を阻害している。
一方日本では、50年代から60年代の高度成長時代にほぼ全てのインフラ整備に際して世界銀行から金銭面での援助(借金)を受けていた。その意味で今後の途上国の高度成長にもファイナンスが必要であり、この点から援助は単なるチャリティではなく投資としての意味を持つ。
他方、人口推計によれば日本の人口は今後急速に減少していき、日本のマーケットは縮小リスクを有しているので、成長する世界経済に打って出ることが日本の将来にとって重要である。バブル崩壊後の経済対策のため、日本は90年以降債務が急増したが、今後人口減少が加わることで将来一人あたりが返済する公債は急速に増加する恐れがあるが、国内だけに目を向けず、世界に投資することで活路が開かれる。
そのような背景を踏まえ、プロ意識やスキルを磨き世界へ貢献できる人材になってほしい。
(文責:加藤美翔)