【国際機構論】7月1日 世界銀行脆弱・紛争影響国ユニット 黒田和秀氏


今回は7月1日にいらしてくださった、世界銀行脆弱・紛争影響国ユニットの黒田和秀氏の講義の模様をお送りします。
また、黒田氏は当日合同ゼミにも参加してくださったので、そちらの模様も併せてお送りします。

【7月1日 世界銀行脆弱・紛争影響国ユニット 黒田和秀氏】

①ゲストのプロフィールご紹介

カナダで物理学を修め、経営学修士号(MBA)取得後、オランダ、フランス留学等を経て国連競争試験に合格。
前国連災害救済調整官事務所ジュネーブ本部、前国連人道問題局(DHA)ニューヨーク本部(いずれも現国連人道問題調整事務所[OCHA])を経て、98年より世界銀行に入行。
社会開発局紛争予防復興ユニット(Conflict Prevention and Reconstruction Unit)(改称前・Post Conflict Reconstruction Unit)、社会開発局紛争予防復興ユニット 上級社会開発専門家などを勤める。



②講義要旨

2008年7月1日の法政大学法学部国際機構論の授業にて、世界銀行脆弱・紛争影響国ユニットで務めておられる黒田和秀先生にお越し頂き、世界銀行の役割と課題について講義をして頂きました。

世界銀行の役割とは、世界銀行は中低所得国にお金を貸すIBRDと最貧国にお金を貸すIDAという2つの組織がある。
さらに、中低所得への貸し出しによるその利子で世界銀行は運営しているということなどをご説明して頂きました。

そして、世界銀行の現在の戦略課題とは、世界で5分の1を占めている開発が進んでいない国についてどうするのか、
2001年のアメリカでのテロ以降、例えば、アフリカへの資金提供においてテロを生みだす危険を減少すべく、アフリカでの資金提供の仕方を変えつつあると教えていただきました。そして、治安が良くなる一方、アフガニスタンのような治安の悪化をする国もあり、世界銀行のような開発機関がどのような支援を行っていったらいいのかが今日の課題であるとお話して頂きました


③合同ゼミ要旨

この日は講義後も後藤ゼミとの合同ゼミとして、黒田さんに来ていただきお話を伺いました。以下にその要旨をお送りします。

今、世界銀行が取り組む課題は、現在約40カ国が枠に入る、1人1日当たり1.2ドルの国という脆弱国家に対しどのような支援をしていくかということである。

所得はあってもイラクのような粉争中である国、開発はしていても紛争中という国もこのユニットは対応し、国レベルではなく一部の地域への支援の場合はどのように行えばいいかなど、世界銀行のプログラムを変更しながら支援を行っている。

また現在の世界銀行は、以前の様な銀行色の強かったものからこのような発展途上国、一国一国の特徴をろく認識し支援ができる開発機関となっている。
しかし、世界銀行は国連とは違い政治に介入することはできず、最近まで平和構築という概念はなかったが、
世界銀行においても平和構築が行えるのだという講義をしていただきました。