この講演会にはポルトガル外務省と防衛省の専門家のほかに、約70人の大学生が聴講した。
長谷川祐弘理事長は冷戦以後の国際紛争の形態が変遷してきたことに応じて、ブートロス・ガリ国連事務総長からアントニオ・グテレス事務総長までが築いてきた平和構築政策を説明した。
この20年間ほど続いた国内紛争のほかに、この5年間ほどに渡り、外国の介入により紛争の形質が複雑から多層化して拡大し長引いていることを指摘した。
グテレス事務総長が打ち出した対応策が、政治優先に基づきアフリカ連合などの地域機構の役割を強化し、先進国がより改善した訓練と機材を供給すること不可欠であるとの認識を反映していると説明された。
また現地での治安を維持し、PKO部隊や要員の安全を確保するために打ち出された、クルーズ報告書の意義を説明した。
長谷川理事長は、世界の各々の地域が自ら責任をもって平和を維持していくための「自立平和」(Autonomous Peace)が、今後は「外部から維持される平和」(Heteronomous Peace)に代わるべきであると述べた。
日本政府が始めた、ピアレビューは地域先導の「自立平和」を促進するために有意義であり拡大されるべきであると説いた。
また長谷川祐弘理事長はカントやロールズの正義論に基づいた西洋社会で進められてて来た平和な社会の構築の理論と、お互いを平等に扱い「和」を達成することが目指す、平和論の違いを説明した。
そして、紛争などの問題が起こった時に打ち出された解決策を、現在起こっている課題(Contemporary Challenges)に適応しても無駄であるとのアインシュタインの言葉を引用した。新しい課題には想像力を果たらせて、問題解決方法を見出すことが必要であると説いた。