私たち法政大学長谷川ゼミは、東ティモール国連事務総長元特別代表の長谷川祐弘教授の下で学んでいるゼミです。平和維持・平和構築に携わる各国際機関の役割を学び、真の国際平和とは何かを追究するべく、3年生12人、2年生14人の計26人で活動しています。長谷川教授は長期間、国連職員として国連平和維持活動に従事し、ご活躍されてきた方です。そのような長谷川教授のご指導の下、私たちは毎週火曜日の4・5限という限られた時間の中で、ゼミ授業がより有意義なものとなるよう、学生一人一人が主体性を持って、積極的に活動に励んでおります。ゼミ授業以外にも、ゲストスピーカーの方を招待して講演会を企画運営したり、外国の大使をお招きしてシンポジウムを開催したりするなど、貴重な経験をさせていただいております。また私達は、より有意義な経験を積むべく、授業以外に、サブゼミ活動と夏季研修旅行を以下の通り実施しています。
*サブゼミ活動について*
今年度のサブゼミ活動は、全ゼミ生が自分たちの興味分野に応じ、平和構築班、開発経済班、人権班、正義班の4班にわかれて自主的に勉強を行っています。そのうち正義班は、他のサブゼミと兼任する形となっています。各サブゼミは、週1回程度、一コマ90分の時間を使って、授業の予習や、各班の興味分野に関する文献の講読・プレゼンテーション・ディスカッションなどを行っています。また、ゼミ授業内で行う『国際紛争』並びに“Understanding Peacekeeping”文献精読での発表準備(プレゼン・レジュメ作成、ディスカッショントピック設定など)は、各班持ち回りで担当しています。
2012年度前期は各班ともに、主にそれぞれの興味分野の文献を読み、プレゼンやディスカッションを行っています。平和構築班では各班員の興味分野に応じたプレゼンやディスカッションを、開発経済班では『国際開発論』(齊藤文彦)を用いてプレゼンを、人権班では『国際人権法』(渡部茂己)を用いてプレゼンを行っています。また正義班は、ゼミ授業の中に数回設けられている、サンデル哲学(『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』(マイケル・サンデル))に関する講義の準備を主に行います。そして後期には、ゼミ授業の時間に、各サブゼミの学習の成果をアウトプットする為のプレゼンがそれぞれ数回設定されているので、それに向けて各班勉強しています。
各サブゼミ内での活動に加え、ゼミ授業時のディスカッションを各班に分かれて行う事で、各分野ごとの視点や考え方を共有しています。そしてそれぞれのサブゼミで培った知識や視点を、ゼミ授業で勉強している平和構築学へと還元することで、より深い理解を得たいと考えています。
*研修旅行について*
長谷川ゼミでは、毎年夏季休業中に海外で研修を行っています。この研修旅行は、基本的にゼミ生によって構成される研修旅行委員を中心に、ゼミ生によって企画・運営されています。今年度の研修旅行は、インド・バングラデシュ班、旧ユーゴスラビア班、ミャンマー班の3つのグループに分かれています。研修旅行先では様々な国際機関でブリーフィングを受けるなど、それぞれの研修旅行班のテーマや、各機関における実際の役割について、普段学んでいる理論と、実際の現場のギャップを埋めつつ、理解を深めていきます。
インド・バングラデシュ班では、ガバナンス、社会開発、経済開発、人間開発、人権の5つの班に分かれて、それぞれの興味分野の視点から、インドとバングラデシュの現状を読み解きます。インドとバングラデシュにはそれぞれ約1週間ずつ滞在し、その間に、両国が抱えるガバナンス、インフラセクター、マイクロファイナンス、初等教育、ジェンダーや宗教等の問題に対して、各班で設けたテーマについて深めていきます。
ミャンマー班では、2011年の新政権発足以降、政治経済において様々な発展や改革がある中で、インフラストラクチャーの未整備やGDPの低さなどの問題を抱えている国内の経済、社会と人権、サステイナビリティーについて、2週間程度の滞在期間で学習を行います。
旧ユーゴスラビア班では、約2週間でクロアチア、セルビア、ボスニア、コソヴォ、マケドニアにそれぞれ訪問し、旧ユーゴスラビアの多民族共生の世界における様々な問題について学びます。主に、平和構築、人権の観点から、バルカン地帯で起きた民族紛争の歴史から、現在の政治、経済、社会状況も含め、未来の眺望について学んでいきます。
残念ながらこの度、長谷川教授は定年を迎えられるため、今年度が私たち長谷川ゼミの活動する最後の年となりました。残された時間を如何にして充実したものとし、これを活かせるかをゼミ生一人一人が常に考え、授業一回一回を大切にしながら、主体性を持って勉強に励んで参ります。どうぞ宜しくお願い致します。
2012年4月1日 第7代ゼミ長 内山靖己